こちらでは法人税の節税のポイントについて書かせていただきます。どうぞご参考になさってください。
不動産投資では常に手元にキャッシュのある状態を作っておくことが必要です。修繕費などお金が出ていく時には一度に出ていくからです。その一度にお金が出ていく最たる例は税金です。そのために資金繰りに注意を払いながら節税する必要があります。
法人の場合には自分やその家族を登記によって役員とすることができ、給与を支払うことが出来るのが個人との最も大きな違いです。法人税の場合には所得800万円までが低い税率ですので、そこを見ながら給与を決定すると良いと思います。ただし社会保険の加入が義務になってしまうことや、経理を複式簿記で行うことが前提となり税理士に依頼する必要があるなど他のコストが増えてしまうデメリットもあります。
法人の場合まず設立の登記などがありますので、税務署への届出関係は大丈夫かと思いますが個人の場合と比べ提出する書類が多いので漏れのないように注意してください。
法人設立したらすぐに法人設立届出書とともに法人税の青色申告承認申請書を原則として所在地の所轄の税務署に提出しましょう。提出期限があり原則として3か月以内です。設立届は2か月以内なのでこちらに合わせるほうが確実です。
法人の場合には個人と違い定款によって事業年度を定めることができます。原則事業年度終了の日から2か月以内に確定申告書を提出することになっています。本などの例は3月となっていることが多いですが、日本の会社は3月が多いためそれ以外の決算月のほうが良いと思います。
青色申告の主なメリットは各種税額控除などの適用があることや損失を9年間(平成30年4月1日開始事業年度より10年間)繰り越せることです。
法人税の法定減価償却方法は定率法ですが、建物・建物附属設備・構築物以外の資産を購入する場合(例えば車など)建物などにあわせて定額法という方法も法人税の減価償却資産の償却方法の届出書を提出することにより採用できます。
また、役員報酬を出すことが前提と思いますが、その場合には給与支払事務所等の開設の届出書と支払を半年に一度にするために源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書も併せて提出します。また、年末には年末調整を行います。
法人所得は所得税のように不動産所得、事業所得、給与所得など分類して集計するわけでなく、すべての収入からすべての経費を差し引いて計算します。
ただ法人の方も個人の所得計算と同様でもらったお金全額が収入となるわけでもなく、支払ったお金が全額経費とならないところが注意すべきポイントです。法人税の対象となる収益を益金、費用を損金といい税額の調整が行われ、法人の場合費用と収益がその期間に対応しているかがより厳格に求められます。
不動産賃貸は通常翌月分を当月末日までに振り込むなど前家賃の契約が通常ですが、原則として契約で定められた日が収入すべき日となります。よって滞納があってまだ家賃をもらっていないとしても収入にしなければなりません。また、不動産収入は敷金などのうち最初から返還しないことが決定されている金額(敷引き)や敷金に替えてクリーニング代などとしていただいている場合も含まれます。
不動産経費は所得税の場合と違い事業的規模かどうかの判定はありません。通常あるものとしては固定資産税などの税金、火災などの保険、減価償却費、借入金利子(返済額ではありません!)、管理費、修繕費、光熱費や通信費などの費用があります。法人の場合には名義が法人であれば原則事業で使ったものとされます。ただし税務調査などの際に私用の物を経費としていると判断される場合には役員賞与となり、法人税も所得税も課税されます。
経費のうち減価償却費は特殊な経費です。お金を支払うのは全額購入時となりますが、経費となるのは居住用建物を建築した場合に木造であれば22年、鉄筋コンクリート造(RC)であれば47年など税法で定められた法定耐用年数で按分をしていくことになるからです。
例えば2,200万円の木造居住用アパートを新築した場合、毎年100万円ずつ22年をかけて経費となっていきます。つまり2年~22年目はお金は支払わないけれど、経費とできるわけです。
逆に、借入金返済はお金は出ていくけれど、借入金利子の部分しか経費となりません。例えば年間100万円借入金返済をして、そのうち利息部分が20万円であれば残りの80万円はお金は出ていくけれど経費にはなりません。借入の元金は借入時に収入とならないので返済時に経費とならないのも仕方がないことですが、サラリーマン大家さんなどの場合は不動産を土地から購入する必要があります。土地はまったく経費とならないものなので、よりお金の手残りを注意する必要があります。
この借入金元金返済が減価償却費を上回っている状態をデッドクロスといい、手元資金が足りなくなる原因となります。借入額が多かったり、借入年数が短かったり、物件が古かったりするとデットクロスの原因となります。
法人の場合は個人よりも事業資金として融資を受けられる可能性が上がり、この場合には資金不足を一時的に解消できます。しかし、当然ながら借りた分も返済しなくてはならないため不動産で利益を出さないと月々の支払が厳しくなっていきます。役員報酬の設定と資金繰りに配慮しながら不動産投資をなさってください。