こちらでは所得税(個人)の節税のポイントについて書かせていただきます。どうぞご参考になさってください。
不動産投資では常に手元にキャッシュのある状態を作っておくことが必要です。修繕費などお金が出ていく時には一度に出ていくからです。その一度にお金が出ていく最たる例は税金です。そのために資金繰りに注意を払いながら節税する必要があります。
所得税の場合には超過累進税率といって、税率が一定でなく所得の高い人は高い税率となっています。よってもともと給与をたくさんいただいている方などは税率が高くなってしまうため、最初から法人の設立を検討しても良いでしょう。
相談に来られる方ですでに不動産投資を開始したのに何も届出を出していないという方がたまに見受けられます。
開業したらすぐに開業届とともに所得税の青色申告承認申請書を原則として住所地の所轄の税務署に提出しましょう。提出期限があり原則として2か月以内です。開業届は1か月以内なのでこちらに合わせるほうが確実です。
個人の場合には1月1日~12月31日のいわゆる暦年で、2月16日~3月15日に確定申告書を提出することになっています。
青色申告の主なメリットは青色申告特別控除(10万円または65万円)と損失を3年間繰り越せることです。
所得税の法定減価償却方法は定額法ですが、建物・建物附属設備・構築物以外の資産を購入する場合(例えば車など)定率法という方法も所得税の減価償却資産の償却方法の届出書を提出することにより採用できます。
また、他に仕事をしていない奥様などが清掃などを手伝われる場合には、青色事業専従者給与に関する届出書を提出して給与を出すことができます。ただしこの場合には5棟10室の事業的規模を満たしている必要があります。
この場合は他に給与支払事務所等の開設の届出書と 支払を半年に一度にするために源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書も併せて提出します。また、年末には年末調整を行います。
不動産所得は不動産収入から不動産経費を差し引いて計算するわけですが、もらったお金全額が収入となるわけでもなく、支払ったお金が全額経費とならないところが注意すべきポイントです。
不動産賃貸は通常翌月分を当月末日までに振り込むなど前家賃の契約が通常ですが、原則として契約で定められた日が収入すべき日となります。よって滞納があってまだ家賃をもらっていないとしても収入にしなければなりません。また、不動産収入は敷金などのうち最初から返還しないことが決定されている金額(敷引き)や敷金に替えてクリーニング代などとしていただいている場合も含まれます。
不動産経費は事業的規模かどうかで範囲も違うのですが他の事業よりも範囲が限定されてくると思います。通常あるものとしては固定資産税などの税金、火災などの保険、減価償却費、借入金利子(返済額ではありません!)、管理費、修繕費、光熱費や通信費などの費用があります。また個人の場合には事業で使ったものと家事費に使ったもの両方が混在します。その場合使用割合で按分します。
経費のうち減価償却費は特殊な経費です。お金を支払うのは全額購入時となりますが、経費となるのは居住用建物を建築した場合に木造であれば22年、鉄筋コンクリート造(RC)であれば47年など税法で定められた法定耐用年数で按分をしていくことになるからです。
例えば2,200万円の木造居住用アパートを新築した場合、毎年100万円ずつ22年をかけて経費となっていきます。つまり2年~22年目はお金は支払わないけれど、経費とできるわけです。
逆に、借入金返済はお金は出ていくけれど、借入金利子の部分しか経費となりません。例えば年間100万円借入金返済をして、そのうち利息部分が20万円であれば残りの80万円はお金は出ていくけれど経費にはなりません。借入の元金は借入時に収入とならないので返済時に経費とならないのも仕方がないことですが、サラリーマン大家さんなどの場合は不動産を土地から購入する必要があります。土地はまったく経費とならないものなので、よりお金の手残りを注意する必要があります。
この借入金元金返済が減価償却費を上回っている状態をデッドクロスといい、手元資金が足りなくなる原因となります。借入額が多かったり、借入年数が短かったり、物件が古かったりするとデットクロスの原因となります。小規模であればデットクロスであっても問題ないと思いますが、大規模で不動産投資をする場合や不動産収入を生活費に充てる場合は資金繰りに配慮しながら不動産投資をなさってください。